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東京高等裁判所 昭和58年(行ケ)51号 判決

(争いのない事実)

一 本件に関する特許庁における手続の経緯、本願発明の要旨及び本件審決理由の要点が原告主張のとおりであることは、本件当事者間に争いのないところである。

(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決は、本願発明と周知のオシロスコープとの構成及び作用効果上の差異を看過した結果、両者の相違点についての判断を誤り、ひいて、本願発明をもつて周知のオシロスコープ及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとの誤つた結論を導いたものである旨主張するところ、原告の右主張は、以下に説示するとおり、理由があるものというべきである。

前記本願発明の要旨に成立に争いのない甲第二号証の一及び二(本願発明の願書並びに願書添付の明細書及び図面)、第三号証(昭和五三年一一月一日付手続補正書)並びに第四号証(昭和五四年四月二六日付手続補正書)を総合すると、(1)従来のトリガ起動型オシロスコープは、普通、少なくとも三種、すなわち、内部、ライン(電源周波数)及び外部の掃引トリガモードを有し、そのうち内部トリガモードの場合、被観測信号は垂直入力端子に印加され、この被観測信号の一部は垂直増幅器から導入されて内部接続を介しトリガ発生回路に送られ、この被観測信号が予め選択された基準レベルを越すとき掃引を開始し、掃引発生器にはトリガが生じる時間から表示が実際に陰極線管スクリーンに現れる時間までの固有の遅延があるので、パルス等の急激に変化する被観測信号波形の前縁部分を見ることができるように故意に遅延され、また、ライントリガモードの場合、垂直表示信号が利用できるか否かに関係なく、反復掃引は電源周波数と同期し、電源の交流電圧の一部は電源入力回路から導出され、内部接続を介してトリガ発生回路に送られ、このモードでは、トリガ信号の周波数、波形及び安定度は分かつているので、普通はそれを観測する必要がなく、このモードを使用するには、垂直表示信号が電源周波数と時間的に関連していなければならず、更に、外部トリガモードの場合、トリガ信号は信号発生器又は被試験回路の基準点のような外部信号源から外部トリガ入力端子を介して直接トリガ発生回路に印加され、トリガ信号が予め選択された基準レベルを越すとき掃引が開始され、このモードは垂直表示信号を他の現象と関連して観測すべきときに有用であること、(2)トリガ波形自体を調べることで、外部トリガ信号源を確かめるか、又はトリガレベルあるいはスロープをチエツクすることがしばしば必要であるが、従来のオシロスコープでは、垂直表示信号を垂直入力端子から切り、次に外部トリガ信号を外部トリガ入力端子から垂直入力端子に移す必要があり、次にトリガ信号源及びレベル制御器、垂直偏向感度、垂直位置及び減衰制御器を再調整する必要があつたが、トリガが波形上の適当な点で行われるかどうかの確証はなく、この確認の後、信号ケーブル及び制御器は全部最初の状態に戻す必要があり、その結果、操作は煩雑で、時間がかかり、不便で、かつ、誤差が生じる危険があつたこと(この点が本願発明の特許出願当時の技術水準であつたことは、当事者間に争いがない。)、(3)本願発明は、信号の接続を変えず、しかも、オシロスコープの制御器に触れずに時間軸掃引をトリガしながら、外部トリガ信号波形をオシロスコープに表示すること、時間軸掃引の開始するトリガ波形上の点を正確に位置決めする簡単な手段を提供すること、外部トリガ信号源を確認する簡単な手段を提供すること、及び普通の垂直増幅器に印加される信号に対し正確な時間―位置関係で外部トリガ信号をオシロスコープに表示することなどを目的として、本願発明の要旨のとおりの構成を採用し、これにより、単一スイツチを作動させるだけで、従来のオシロスコープを用いて外部トリガ信号が観測できる垂直表示モードが付加でき、更に、掃引の始まるトリガ信号波形の正確な点が正確に位置決めでき、平衡差動増幅器よりなるトリガ観測前置増幅器はトリガ入力回路の一部からトリガ信号とトリガレベル基準電圧の両方を受け、トリガ観測前置増幅回路のプツシユプル出力はスイツチを介して垂直チヤンネル遅延線に接続され、垂直出力増幅器で増幅されて陰極線管の偏向板に印加され、トリガ観測前置増幅器の全体の遅延は普通の垂直前置増幅器の全体の遅延と整合され、急激に変化する外部トリガ波形の前縁を従来の内部トリガ表示について前述したように観測でき、また、トリガ観測前置増幅器は平衡差動増幅器であるので、垂直方向のスクリーンの中心はトリガレベル制御器で設定されたレベルに対応するから、オシロスコープの操作者は、トリガ波形とトリガレベルとの関連を見ることができるので、外部トリガ信号の所望の点で安定にトリガするなど所期の目的を達成したものであること、(4)本願発明の実施例に基づく本願発明の構成及び作用効果は、願書添付の図面(別紙図面(一))中第1図のものでは、陰極線管スクリーンに表示される被観測信号をチヤンネルⅠ又はⅡの入力回路(14)又は(15)の垂直入力端子(10)又は(11)のいずれかに印加すると、入力回路(14)又は(15)は正確な減衰及び結合を与え、次に、信号は垂直前置増幅器(16)又は(17)で増幅され、プツシユプル、すなわち差動出力に分割され、垂直前置増幅器(16)及び(17)は複数の偏向感度を与えるため一般に利得切換えを有し、また、それらは一般に表示信号の一部を時間軸トリガ回路に与え、観測すべきチヤンネルを垂直チヤンネル・セレクタ(18)で選択し、次に、信号を垂直モード・セレクタ(22)を介して遅延線(24)に送り、次に、信号は垂直増幅器(26)で増幅され、その後で陰極線管(29)の垂直偏向板(28)に印加され、また、トリガ信号源及び結合スイツチ(32)は内部、ライン又は外部の信号源から適当なトリガ信号を選択してトリガ前置増幅器(34)にトリガ信号の所望の結合を与え、このトリガ前置増幅器(34)は比較増幅器であり、トリガ信号をポテンシヨメータ(36)で作つた基準電圧と比較し、トリガ信号電圧が基準レベルを越すときトリガし、掃引ゲート(38)はトリガされて電圧を生じ、かかる電圧は掃引発生器(40)をオンにし、鋸歯状電圧を作り、この鋸歯状電圧は差動信号に分割され、かつ、水平偏向板(44)を直線的に駆動するため水平増幅器(42)で適当なレベルに増幅されるところ、本願発明の新規性は、外部トリガ信号で掃引発生器を作動させながら、かかる信号を観測できる垂直表示モードを付加したことにあり、外部信号源から入力端子(30)に印加するトリガ信号はトリガ信号源及び結合スイツチ(32)で選択され、かつ、従来のようにトリガが垂直前置増幅器の入力端に印加されるが、トリガ信号もポテンシヨメータ(36)からの基準レベルとともに外部トリガ観測前置増幅器(20)に送られ、外部トリガ観測前置増幅器(20)からの出力は同軸ケーブル(21)を通つて垂直モード・セレクタ(22)に至り、垂直モード・セレクタ(22)は普通の垂直前置増幅器チヤンネルかトリガ観測前置増幅器かのいずれかからの表示信号を選択するものであり、この点を願書添付の図面中第2図のものについてみると、トリガ前置増幅器(34)はトランジスタ(54)及び(56)(甲第二号証の二の第八頁第一四行中「(55)」とあるのは「(56)」の誤記と認める。)を含み、これらトランジスタは抵抗器(58)を介してエミツタが結合され、比較増幅器を形成し、抵抗器(52―62)及び(36―60)はそれぞれトランジスタ(54)及び(56)をバイアスし、トランジスタ(54)のベースにおけるトリガ信号をポテンシヨメータ(36)によりトランジスタ(56)のベースに設定した+V及び-Vの間の電圧レベルと比較し、掃引信号の開始を希望する点をトリガ波形上に確立し、トリガ信号及びトリガレベル基準電圧はそれぞれトランジスタ(54)及び(56)のベース―エミツタ通路を経てトリガ観測前置増幅器(20)の二つの入力端に伝送されるものであり、右の構成を採用したことにより、スイツチ(22)の切換えによつて垂直入力端子(10)及び(11)に加えた被観測入力信号をそれ自体又はトリガ入力端子(30)に加えた外部入力信号に同期して内部又は外部トリガモードで被観測信号を観測する従来のオシロスコープの機能に加えて、更に、上記外部入力信号自体も観測でき、この外部入力信号の観測時に外部入力信号をトリガ比較増幅器(34)を介して陰極線管に加えるので、トリガ点が必ず陰極線管スクリーン上の所定位置、例えば中央に表示でき、したがつて、トリガ点が表示波形から一目瞭然であり(それは、外部入力信号がトリガ比較増幅器(34)の基準レベルと一致したとき掃引動作が開始するからである。)、更に、トリガ観測前置増幅器(20)とスイツチ(22)間に所定の遅延時間を与える同軸ケーブル(21)を挿入し、被観測入力信号と外部入力信号との遅延時間を等しくすることにより、スイツチ(22)の選択位置に関係なく表示波形のトリガ点は陰極線管スクリーンの同一時間軸上に表示されるので、被観測入力信号と外部入力信号との間の時間―位置関係が正確に表示でき、したがつて、両入力信号の比較を確実に行うことができ、更にまた、被観測入力信号と外部入力信号とを従来の二現象オシロスコープの各入力端子に加える場合に比して、回路構成が著しく簡単になるという顕著な作用効果を奏するものであることが認められる。他方、本願発明の特許出願前周知のオシロスコープは、本件審決の認定のとおり、垂直及び水平偏向手段を有する陰極線管と、少なくとも一個の被観測入力信号を受ける垂直入力回路と、上記入力信号又は外部入力信号を制御可能な基準レベルと比較するトリガ増幅器と、該トリガ増幅器の出力に同期して掃引信号を発生し上記陰極線管の上記水平偏向手段に印加する水平回路とを備えるものであることは、原告の認めるところである。

そこで、以上の事実に基づき、本願発明と周知のオシロスコープとを対比考察するに、両者は、本件審決の認定のとおり、垂直及び水平偏向手段を有する陰極線管と、少なくとも一個の被観測入力信号を受ける垂直入力回路と、上記入力信号又は外部入力信号を制御可能な基準レベルと比較するトリガ増幅器と、該トリガ増幅器の出力に同期して掃引信号を発生し上記陰極線管の上記水平偏向手段に印加する水平回路とを備えるオシロスコープである点で一致し、本願発明は、トリガ増幅器の出力を増幅するトリガ観測増幅器と、該トリガ観測増幅器の出力又は垂直入力回路の出力を選択して陰極線管の垂直偏向手段に印加するスイツチ回路を備えているのに対し、周知のオシロスコープは、これらを備えていない点で相違することは、原告の認めるところであるから、右相違点について検討すると、前認定のとおり、本願発明は、トリガ増幅器の出力に同期して掃引信号を発生し、陰極線管の水平偏向手段に印加する水平回路及びトリガ増幅器の出力を増幅するトリガ観測増幅器を備えており、これを前掲甲第二号証の一及び二並びに第三号証に示された実施例に即してみると、トリガ前置増幅器(34)の出力(第3図のトリガパルスD)に同期して掃引信号(第3図のG)を発生し陰極線管(29)の水平偏向手段(44)に印加する水平回路(掃引ゲート(38)―掃引発生器(40)―水平増幅器(42))及びトリガ前置増幅器(34)の出力(外部入力信号に関係のある出力であり、より具体的には、外部トリガ入力信号及びトリガレベル電圧)を増幅するトリガ観測増幅器(20)を備えているものであつて、本願発明のトリガ増幅器は、トリガパルスを出力するとともに、外部入力信号に関係ある出力信号(外部トリガ入力信号及びトリガレベル電圧)を出力していることが認められるところ、右の技術事項が本願発明の特許出願前に自明ないしは周知であつたことを認めるに足りる証拠はない。もつとも、成立に争いのない乙第一号証(昭和四〇年一一月一〇日株式会社産報発行の塩沢政美著「わかりやすいシンクロスコープ測定法《電子科学シリーズ》<14>」の第二二頁、第二三頁及び第五八頁ないし第六一頁。以下「第一周知例」という。)によれば、第一周知例は、本願発明の特許出願前に日本国内において頒布された刊行物であつて、その第二三頁の図1・2・1に図示されているトリガ入力増幅器は、外部トリガモードの場合、トリガモード切換スイツチを介して導入される入力信号に相似な波形の信号<7>又は<8>を出力していることが認められるが、本願発明のトリガ増幅器は、前示のとおり、トリガパルスを出力するとともに、外部入力信号に関係のある出力信号(外部トリガ入力信号及びトリガレベル電圧)を出力しているところ、前掲乙第一号証によると、第一周知例のものでは、トリガパルス<10>は微分回路より出力されるものと認められるから、本願発明のトリガ増幅器に相当するものは、トリガ入力増幅器、トリガマルチ及び微分回路よりなるものというべきであり、外部トリガモードの場合、その出力は、トリガパルス<10>のみで、外部トリガ信号に相似な信号<7>又は<8>は出力しておらず、右の信号<7>又は<8>は、単にトリガ入力増幅器の回路の内部において、トリガパルス<10>を出力するために存在するにすぎず、また、第一周知例には、右の信号<7>又は<8>を回路の途中、すなわち、トリガ入力増幅器の出力から取り出して、他の何らかの目的、例えば、本願発明のようにその波形を観測するというような目的のために利用することを示唆するに足りる技術事項については、何らの開示もないことが認められ、また、成立に争いのない乙第四号証(昭和四一年二月二五日有限会社電子計測出版社発行の「月刊電子計測」第六巻第三号第六五頁ないし第七〇頁。以下「第二周知例」という。)によれば、第二周知例は、本願発明の特許出願前に日本国内において頒布された刊行物であるが、それにも、本願発明のトリガ増幅器の構成及び作用効果を示唆するに足りる技術事項の開示がないことが認められる。してみれば、オシロスコープにおいて、外部トリガモードの場合にトリガ増幅器の出力に外部トリガ信号が出ていることは自明であるとした本件審決の認定は、誤つており、右技術事項をもつて自明であるということはできない。ところで、前示本願発明の特許出願時の技術水準によると、外部トリガ信号を観測したい場合、従来は、被観測信号を垂直入力端子から外し、この端子に、外部トリガ入力端子から外した外部トリガ信号を接続し、観測後は再び、外部トリガ信号を垂直入力端子から外して外部トリガ入力端子に接続し、垂直入力端子に被観測信号を接続していたのに対し、本願発明は、外部トリガ信号を観測しようとする場合、従来行われていた右のような方法で観測するものではなく、これを直接陰極線管上に表示することとし、しかも、これを垂直入力端子へ入力させることなく、スイツチ回路の選択によつて、垂直入力回路を経ずに、トリガ観測増幅器を経て直接陰極線管の垂直偏向手段に印加しようとするものであるから、前示本件審決が自明であるとした技術事項が自明ではなく、しかも前認定のとおりの本願発明の奏する顕著な作用効果を参酌すると、当業者といえども、本願発明の右構成に想到することは容易ではなく、また、周知のオシロスコープから本願発明の作用効果を予測することも困難であるといわざるを得ず、被告の挙示する乙第二号証及び第三号証も右認定判断を左右するに足りない。被告は、オシロスコープにおいて、外部トリガモードの場合にトリガ増幅器の出力に外部トリガ信号が出ていることが自明であることを理由の一つとして、原告主張の本願発明の特徴とする構成を周知のオシロスコープに付加することは、当業者が必要に応じて容易になし得る単なる設計的事項にすぎない旨主張するが、右の技術事項が自明ではなく、本願発明の右の構成に想到することが容易でないことは、前認定説示のとおりであるから、右の構成を周知のオシロスコープに付加することが単なる設計的事項であるということはできず、したがつて、被告の右主張は、採用することができない。また、被告は、右の技術事項が自明であることを理由の一つとして、本願発明の効果は、当業者が本願発明の特許出願時の技術水準に基づいて当然予測し得るところである旨主張するが、右の技術事項が自明ではなく、本願発明の効果が周知のオシロスコープから当然に予測し得るものでないことは、前認定説示のとおりであつて、被告の右主張も、採用の限りでない。更に、被告は、トリガ増幅器の出力には、外部トリガモードの場合、外部トリガ信号に相似な信号であつて、その直流レベルがトリガ・レベル信号に応じて変化する信号が生じており、乙第一号証の記載からも分かるように、右トリガ増幅器の出力に応答してトリガパルスが形成されるのであるから、右出力信号を表示すれば、外部トリガ信号の波形上のトリガ点を確認することができることは当然のことである旨主張するが、右の出力信号は、単にトリガパルスを形成するためのものであつて、これを積極的に他の目的のために利用するというものではないから、右の技術事項から本願発明のように右の出力信号をそのまま陰極線管上に表示することが容易に想到し得ることであるということのできないことは、前認定説示のとおりであり、したがつて、被告の右主張もまた、採用するに由ないものである。更にまた、被告は、乙第一号証及び第四号証(第一周知例及び第二周知例)に示されているトリガ増幅器としての差動増幅器は、選択されたトリガモードの入力信号とトリガ・レベル信号とを比較し、両信号の差に応答する出力信号を生ずるのであつて、本願発明のトリガ増幅器と格別異なることはない旨主張するが、オシロスコープにおいて、外部トリガモードの場合にトリガ増幅器の出力に外部トリガ信号が出ていることが自明であるとは認められず、第一周知例及び第二周知例にも、本願発明のトリガ増幅器に関する構成を示唆するに足りる技術事項の開示がないことは、前説示のとおりであるから、被告の右主張は、本願発明の構成に想到することは容易でないとする前示判断を左右するものではない。なお、被告は、外部トリガ信号波形とトリガレベルとの関係を知るためには、必然的に、トリガ増幅器の出力を観測しなければならない旨主張するが、外部トリガ信号波形とトリガレベルとの関係を知るためには、従来は、外部トリガ信号を垂直入力端子に接続し、種々の調整をする必要があつたのであつて、本願発明のように、従来の方法に代えて、トリガ増幅器の出力を垂直入力端子を経ないで垂直偏向手段に印加することが必然的なことということのできないことは、前認定説示のとおりであるから、被告の右主張も、採用するに値しない。なお更に、被告は、トリガ増幅器の出力信号をも観測するために、これを垂直軸回路に選択導入することができるようにすることは、当業者が必要に応じてなし得る設計的事項にすぎない旨主張するが、トリガ増幅器の出力信号をそのまま陰極線管上に表示することが容易に想到し得ることでないことは、前認定説示のとおりであるから、右の選択導入することが容易に想到し得ることということもできず、したがつて、被告の右主張も、採用することができない。被告は、本件審決の認定判断は相当であるとして、そのほかにもるる主張するところであるが、その理由のないことは前認定説示に照らし明らかであり、したがつて、被告の右主張も、採用するに由ないものといわざるを得ない。

以上によれば、本願発明は周知のオシロスコープ及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとした本件審決は、結局、その認定判断を誤つたものというべきである。

(結語)

三 よつて、本件審決を違法としてその取消しを求める原告の本訴請求は、理由があるから、これを認容することとする。

〔編註〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

垂直及び水平偏向手段を有する陰極線管と、少くとも一個の被観測入力信号を受ける垂直入力回路と、上記入力信号又は外部入力信号を制御可能な基準レベルと比較するトリガ増幅器と、該トリガ増幅器の出力に同期して掃引信号を発生し上記陰極線管の上記水平偏向手段に印加する水平回路と、上記トリガ増幅器の出力を増幅するトリガ観測増幅器と、該トリガ観測増幅器の出力又は上記垂直入力回路の出力を選択して上記陰極線管の上記垂直偏向手段に印加するスイツチ回路とを具えることを特徴とするオシロスコープ。

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